Simurelay #01 : Safety Circuit Simulation

ELECTRICAL

電気回路シミュレーター“Simurelay”を使用し、簡単な自己保持回路や安全カテゴリ相当回路の作成及びシミュレーションをしてみます。

本記事の回路はあくまで安全カテゴリ相当のものです。
回路の姿形だけで安全カテゴリを満たしていると宣言するものではありません。
また、本記事の内容は該当規格の解釈の正確性を保証するものではありません。

1 Simurelayのインストール

以下のMicrosoft Storeからインストールします。
https://apps.microsoft.com/store/detail/simurelay/9MWMFJ4L40G1?hl=en-us&gl=us

“Get in Store app”を選択します。

“インストール”を選択します。

2 自己保持回路

自己保持回路を作成します。

動作は以下のようになります。

3 安全カテゴリ3相当の回路例

安全カテゴリ3相当の回路を作成します。
本来、非常停止はNC接点が2個連動する部品が欲しいのですが、現状のSimurelayには該当する部品が無いため、NO接点2個が連動する普通のスイッチで代用しています。(回路図のS1)

動作は以下のようになります。

4 フィードバック接点が無い場合

フィードバック接点の役割を模擬するため、欠陥回路を作成します。
前述の「3 安全カテゴリ3相当の回路例」から、リセットスイッチS2と連動するリレーK3の間のK1、K2のNC接点(フィードバック接点)を削除します。
この状態でもリセットスイッチS2オンでモーターM1は回り、非常停止S1オフで止まります。

フィードバック接点が無いと何が起こるのか見るために、安全出力保持用リレーK1またはK2の接点が溶着した場合をシミュレーションします。
コンタクタK1の接点が溶着したのと同じ状態を作るためにスイッチS3を追加し、同様にK2のためにスイッチS4を追加します。
① 非常停止S1をオン。
② リセットS2をオン。
③ K1接点が溶着した状態を作るためにスイッチS3をオン。(単一故障の発生)
④ 非常停止S1をオフしてモーターM1を停止。
⑤ 非常停止S1をオン。
⑥ リセットS2をオン。
モーターM1は回ってしまう。(「故障は安全機能の次の動作要求時かそれ以前に故障を検出すること」の未達成)

5 フィードバック接点がある場合

今度は、フィードバック接点がある回路に対して溶着シミュレーション用のスイッチS3とS4を追加します。
① 非常停止S1をオン。
② リセットS2をオン。
③ K1接点が溶着した状態を作るためにスイッチS3をオン。(単一故障の発生)
④ 非常停止S1をオフしてモーターM1を停止。
⑤ 非常停止S1をオン。
⑥ リセットS2をオン。(K1のNC接点によりK3がオンしない)
⑦ モーターM1は回らない。(「故障は安全機能の次の動作要求時かそれ以前に故障を検出すること」の達成)

6 障害の蓄積による安全機能の喪失の場合

前述の安全カテゴリ3回路で「障害の蓄積による安全機能の喪失」のシミュレーションを行います。
以下の回路では、スイッチS3で非常停止S1接点の短絡を再現し、スイッチS4で系統間短絡を再現します。
① 非常停止S1をオン。
② リセットS2をオン。
③ 非常停止S1接点の短絡状態を作るためにスイッチS3をオン。(単一故障の発生)
④ 系統間短絡状態を作るためにスイッチS4をオン。(障害の累積)
⑤ 非常停止S1をオフ。
モーターM1が停止しない。(障害の蓄積による安全機能を喪失した状態)

上記の「障害の蓄積による安全機能の喪失」への対策のため、下図のようにK2のコイル操作電源のプラスマイナスを逆にします。

この状態でS3及びS4をオンして「障害の蓄積による安全機能の喪失」の状態とすると、
プラスマイナスが短絡してヒューズなどの保護回路が働き、安全回路の電源が遮断されてモーターM1が停止します。
① 非常停止S1をオン。
② リセットS2をオン。
③ 非常停止S1接点の短絡状態を作るためにスイッチS3をオン。(単一故障の発生)
④ 系統間短絡状態を作るためにスイッチS4をオン。(障害の累積)
⑤ 短絡発生で電源喪失しK1及びK2がオフしてモーターM1が停止する。(Simurelayでは短絡発生で強制終了)

7 参考文献

一般社団法人 日本工作機械工業会(JMTBA):機械安全教育テキスト(工作機械設計・製造管理者向け)

一般社団法人 日本工作機械工業会(JMTBA):機械安全教育テキスト(工作機械設計・製造管理者向け)  第6章 電気と制御システムの安全設計 [P.500 – 727] 

日科技連出版社:産業機械の電気安全 安全祈願から安全設計へ, 田村 誠一 (著), 平沼 栄浩 (著), 田村 邦夫 (監修)

以上。