Mitsubishi FX5UC(Master) & Mitsubishi Q03UDVCPU(Slave):CC-Link IE Field Basic

PLC

三菱電機FX5UCと、Q03UDVCPUのCPU内蔵Ethernetポートを有線LANで接続し、CC-Link IE Field Basic(以下、CC-Link IEFB)で通信します。
三菱電機のCC-Link IE Field Basicマスタ局機能を持つCPUにはスレーブ局となる機能はないため、三菱電機のコントローラー間でのCC-Link IE Field Basic接続をパラメータ設定のみで実現することはできません。
ただ、CC-Link IE Field Basicはいわゆる「標準Ethernet方式」であるため、自力でパケットを作成すればスレーブ局として動作させることは可能です。
本稿では、Q03UDVCPUの内蔵Ethernetポートの「通信プロトコル支援機能」にCC-Link IE Field Basicスレーブ局のパケットデータを作成し、マスタ局であるFX5UCとのサイクリック通信を実現します。

1 構成

2 CC-Link IE Field Basicのパケット解析

Q03UDVCPUにCC-Link IEFBパケット発行する機能を実装するために、
FX5UCとJTEKT KOSTACとのCC-Link IEFB通信のパケットをWiresharkで解析します。

以下のCLPAのダウンロードページからWireshark上でCC-Link IEFB用のプラグインをダウンロードします。
https://www.cc-link.org/ja/downloads/index.html

Wiresharkインストールフォルダの「plugins」にダウンロードしたluaファイルを置きます。
(本稿で使用したWiresharkのバージョンは「Version 4.2.3 」)

CC-Link IEFB通信を設定したFX5UCとJTEKT KOSTACをミラーハブに接続してWiresharkでパケットキャプチャを開始し、マスタ局のIPアドレス「192.168.0.1」がSourceのパケットを見ると、ProtocolはUDPであることがわかります。

Q03UDVCPUをスレーブ局として動作するためには、マスタ局のパケットの「CC-Link IE Field Basic, Request」の中身を通信プロトコル支援機能の受信データに設定します。

スレーブ局として動作しているJTEKT KOSTACから発行されたパケットは以下のようになっており、同様に「CC-Link IE Field Basic, Response」の中身を通信プロトコル支援機能の送信データに設定します。

3 三菱電機Q03UDVCPUの設定

上記のパケット解析の結果、以下のような通信プロトコルを作成します。

マスタ局FX5UCからのパケットを受信するプロトコル番号「1」の中身は以下のようになります。

スレーブ局Q03UDVCPUからパケットを発行するプロトコル番号「2」の中身は以下のようになります。

プロトコル番号「1」を実行してマスタ局からのパケットを受信後、プロトコル番号「2」を実行してマスタ局にスレーブ局としてのパケットを送信する動作を繰り返すプログラムを作成します。

内蔵Ethernetポートのオープン設定のプロトコル「2」を以下のように設定します。

4 三菱電機FX5UCの設定

FX5UCの設定は、JTEKT KOSTACと通信する場合と同様のため省略します。

5 動作確認

マスタ局FX5UC側のGX-Works3のウォッチウィンドウに以下のようにデバイスを登録してウォッチ開始します。

同様に、スレーブ局Q03UDVCPU側のウィッチウィンドウに以下のようにデバイスを登録します。

FX5UCの“B40”をTRUEにすると、Q03UDVCPUの“D1058”のBit0がONします。

Q03UDVCPUの“D1152”のBit0をONすると、FX5UCの“B0”がTRUEになります。

FX5UCの“W20”に値を設定すると、Q03UDVCPUの“D1026”に値が反映されます。

Q03UDVCPUの“R27700”に値を設定すると、FX5UCの“W0”に値が反映されます。

6 参考文献

三菱電機:CC-Link IEフィールドネットワークBasicリファレンスマニュアル

以上。